AOM-5024L-HD-Rを使って高音質なバイノーラルマイクを作る

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がいよう

前回中々使える奴と判明した5024くんを使って、SN比重視のバイノーラルマイクを作った。
本当はメイキングを動画で挙げたかったのだが、編集が一向に終わらんので先にこっちを投稿だ。

結論から言うとやっぱ音質にクセがある。またソースフォロアをそのまま出力しているので、どっかでゲインを稼ぐ必要がある。
ファンタムを吐けるレコーダー、編集時のEQなんかは必須だと思う。
また、今回は動作させられる最低限の状態、いわゆる「バニラ」なので、使い勝手を求める場合は更に工夫の余地がある。

その代わり5000円でお釣りがくるくらい安い。購入品と購入先のリストは末尾に記載する。

つくりかた

かいろ

回路はとんでもなく簡単で、電子回路の知識なんぞ無くてもハンダゴテ買ってきたその日に出来る。

左に回路図、右に配線図だ。コンデンサは1~10uF程度なら何でも良い。
マイク一つにつき、コンデンサおひとつ、抵抗おひとつ。
マイクから5cmくらいの配線を生やして、XLRレセプタの後ろ側に抵抗とコンデンサも一緒にくっつける。以上!
配線材は買ってもいいし適当なケーブルバラしても何でも良い。

この段階で、レコーダなりAIなりにマイクケーブルで繋いで、動作確認をすると良い。
ファンタムかけて音が取れるなら上々だ。

マイクとレセプタとりつけ

筐体、つまりバイノーラルマイクのボディにパーツをくっつけていく。
筐体は今回ダイソーで買った商品展示用のアクリルディスプレイを採用したが、正直ここは何でも良い。
「概ね10cmの立方体に近い構造で、左右に面を持つ厚み3~5mmの加工可能な製品」であればどんなものでも構わない。

まずはマイクを左右、つまり耳の位置に取り付ける。
マイクを筐体に取り付けるのには、グロメットを使うのが丁度いい。
内径9ミリのグロメットを取り付けて、マイクを無理やり押し込めば壁面にマイクを取り付けられる。
しかもゴム製なので振動を抑える効果も期待できる。
ちなみに光のKGE-9aがお勧め。ヨドバシドットコムでクソ安い。

筐体の左右に12mmの穴を開けてグロメットを取り付け、そこにマイクをえいやっと押し込むだけだ。

次は筐体の背中か底(3dio方式)にレセプタを取り付ける。16mmの穴を空ける必要があるので、ステッピングドリルを使うのがお勧めだ。
レセプタはネジで止める方式なので、16mmの穴の斜め上下に3mmの穴も開けてやろう。
ネジはタッピングでかなりキツイので、事前にレセプタへ通しておくと作業しやすい。

みみがた

Amazonで謎の中国メーカーから耳型を購入出来る。着弾まで2週間くらいかかるので、早い内発注しておくのがお勧めだ。
ちなみに異物が混ざっていたり(2敗)左右セットで買ったのに両方右耳だったり(1敗)厚みが左右で違ったり(1敗)する。祈れ!

まず耳型に音を通すための穴を空ける。
耳型は柔らかく、ドリルなんかじゃ伸びちゃって穴が空かんので、同軸用のコネクタを使う。
同軸コネクタは端っこが薄いので、これを思いっきり押し当てていい感じに穴を開けてやる。

穴はあくまで音を通すためなので、ざっくり直径1cmくらいの穴が開けばおっけー。

そしたら、このまま筐体に接着剤でつけちゃっても良いんだけど、見栄えと使い勝手のためにMDF材を挟む事にする。
MDF材はとっても安くて加工しやすくしかも頑丈。
耳型より一回り大きいサイズにカットして、グロメットがすっぽりはまるよう15mmの穴を開けよう。

MDF材の4隅をネジで筐体に留め、最後に耳型の穴がいい感じの位置になるようMDF材に接着だ。
百均の瞬間接着剤で問題なくくっつくぞ。

というわけでとりあえず完成。
改めて録音テストをしてみよう。

さらなる高みへ

実を言うと、この状態のバイノーラルマイク、使いにくい。
耳を触ると本体がずれて移動しちゃったりするし、そもそも耳型はぷにぷになので硬い音を録るには工夫が要る。

ここでは幾つか「いい音を録るための実践的な工夫」を挙げる。

足を付ける

今回例に挙げたのは底の無いタイプのボディだったが、もし底がある場合は余ったグロメットを底面の4隅に取り付けるだけでいい滑り止めになる。
勿論ゴム足を買ってきてもいいし、底の無い場合は100均のL字金具なんかを左右から生やせば同じ事が出来る。

もしくはど真ん中に三脚か何かを取り付けられるよう工夫するのも良い。
3dioなんかはこのタイプなので参考になるだろう。

真ん中に遮蔽物をつける

右マイクと左マイクの間が筒抜けなので、片方で鳴らした音がもう片方にも拾われてしまう。
幸いこのマイクは2つのレセプタの間にがら空きの空間があるので、適当な遮音材か何かを貼り付けると良い。

マイクを覆う

今回採用した回路はコストと作りやすさを重視したところ「マイク本体に触れるとノイズが発生する」というイカれた設計だ。
ということは、「耳の奥のマイクに金属製の棒で触れてもノイズ」という事があり得る。金属性の耳かきとか。

で、この場合薄いメッシュかガーゼでマイクを覆い、その状態でグロメットに通すという手がある。
とにかく「電気的に外部と遮断」出来れば何でも良い。家の中にある、薄い材質のものを探し回ってみよう。

耳かきする

今回MDF材を使って耳型の取り付けを行ったが、余った切れ端を1cm四方とかに切り出して、耳穴に突っ込んでみよう。
そんで耳かきとかで擦ってあげるとすごくいい音がする。お勧め。
というか基本的に何らかのモノを突っ込まないと、この耳型ではいい音が録れない。

もっとも、「限りなく人間の肌に近い耳型」があったとしても、それはそれでその材質の音しか録れないわけで、この辺はほんとに工夫する必要がある領域だと思う。

EQをかける

VSTプラグインと聞いても何だかわからない場合は是非ググって欲しい。
録った音がそのまま使えるケースは余り無い。
このマイクに限らずコンデンサ系のマイクはヒト科と比べて特性がフラットすぎるので、EQで高域を鈍らせるようにするとリアルに聞こえる。
せっかくなのでお気に入りの設定を一つ紹介する。

10kHz以上を思い切り減らしているのはちょっと極端な例だが、概形としてはこんな感じの設定を使っている。
ざっくり言うと直流に近い領域を勢いよくカット、聴覚上聞こえるレベルの低域(70Hz前後)を思い切って増幅、高域を減らすか場合によっては思い切ってカット、という感じ。

4KHzにピークだしてるバカは俺の部屋に幽霊がいるというだけなので無視してほしい。

買うものリスト(参考)

【なんらかの店】
なんらかの箱 片側7×10mm以上で厚み3~5mm(筐体)

【アマゾン】
耳型 1セット1000円 「シリコン 耳型」とかで検索すると出る
2週間待ちなので注意

【マルツ】
マイク AOM-5024
2個1000円
https://www.marutsu.co.jp/pc/i/27039172/

4.7uf 50v 無極ニチコン 2個140円
https://www.marutsu.co.jp/pc/i/56453/

抵抗 金属47k 2本40円
https://www.marutsu.co.jp/pc/i/1329/

撚線 AWG28 10mもいらねぇけど350円(配線用 いる場合)
https://www.marutsu.co.jp/pc/i/68950/

型抜き 90円
https://www.marutsu.co.jp/pc/i/605560/

送料無しにするため3000円にしたいならハンダゴテとか買うといい
ペンチとかニッパーとかワイヤストリッパは必須じゃないけど無いと辛い

【音家】
XLR受け ネジとセットで2個250円(ネジは4本いるので注意)
https://www.soundhouse.co.jp/products/detail/item/56102/
https://www.soundhouse.co.jp/products/detail/item/245596/

ケーブル1m 2本で700円
https://www.soundhouse.co.jp/products/detail/item/25558/

新品でXLR挿さるレコーダ買うならDR-40 ber2-j 17000円 ACアダプタ別売り…
https://www.soundhouse.co.jp/products/detail/item/228716/

微妙に1000円に届かない場合はLANケーブルとか日用品買っとけ
https://www.soundhouse.co.jp/products/detail/item/190792/

【よどばし等】
光 KGE-9a 150円 尼だと何故か500円とかする どこで買っても良い
https://www.yodobashi.com/product/100000001003746985/

【その他】
電動ドリルとステッピングドリル(2mm単位、最大16mm以上) 無いと無理ゲー 3.2ミリのドリルは百均で買え

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AOM-5024L-HD-Rを使って高音質なバイノーラルマイクを作る への2件のフィードバック

  1. 匿名 のコメント:

    はじめまして
    この記事を参考にバイノーラルマイクを作ろうと思っているのですがem158を使う場合マイク側の+-は逆で繋いだ方がいいのでしょうか?

    • drroot のコメント:

      EM158はバックエレクトレットですので、マイクの+を負極(XLRならばCOLD)に繋げばよろしです!…たぶん!(P48のような最小構成の場合)

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